2024年度 春のOB会を開催しました

6月1日(土)に2024年度の春のOB会を開催しました。現役生もOBの方々も数多く参加してくださり、賑やかな散策になりました。雲ひとつない晴天で、天候にも恵まれました。

 

【妙心寺大雄院】

まず、妙心寺塔頭「大雄院」に訪れました。妙心寺は、建武4年(1337)に創設された臨済宗の寺院で、その塔頭寺院である大雄院は、享保11年(1726)に再建された客殿(方丈)と書院の他、庫裡、表門がいずれも京都府指定登録文化財となっています。

ここでは、2組に分かれ、OBの二村様と前住職である石河正久和尚に大雄院についてご説明していただきました。

石河正久和尚は、京都工芸繊維大学繊維学部蚕糸生物学科で蚕学を専攻された方です。繭を造れないカイコに平面吐糸をさせて繭の紙を作らせ、色紙や画仙紙などに用いて、芸術領域に新たな蚕糸利用の方途を探ろうと研究されたそうです。今回は、石河正久和尚が命名された「蚕繭紙」に現代の高僧、名士の名筆と語句、絵画が展示されておりました。

方丈五室には、明治初期に活躍した日本画家である柴田是真の紙本墨画淡彩による山水、花鳥、人物を描いた障壁画がはめられておりました。登場人物が生き生きとした姿で描かれており、心を踊らせるものでした。また、二村様が学生時代に大雄院の襖を苦労して取り替えた思い出を話されたことも面白く印象に残りました。

千種の間には、柴田是真が手がけた襖絵が展示されておりました。四季折々の植物を円形に落とし込んだ襖絵は、他に類を見ない新鮮なものでありながら、絶妙な彩色によって見る者に心地よさを与える秀逸なものでありました。

外には、枯山水と池泉回遊式の複合型庭園があり、常緑樹や苔の緑が拡がる庭は、素朴で夏らしい風情を感じ、外の暑さを忘れさせるような爽やかさがありました。

 

【轉法輪寺】

妙心寺大雄院を訪れた後は、しばらくの間坂道を上り、轉法輪寺に向かいました。なお、轉法輪寺は一般公開されているお寺ではなく、参拝の際には事前の連絡が必要となります。(ただし、秋と冬に一般公開を行う期間があるそうです)

轉法輪寺は、開基である関通上人が既に廃寺となっていた円通寺というお寺を譲り受け、そこに轉法輪寺という名のお寺を創建することを決意したのが始まりです。また、創建当時は京都西方の北野に位置していましたが、轉法輪寺の阿弥陀様は西方におられるべきであるという声を受け、さらに西に位置する、現在お寺が建っている御室の地へと移転されました。

楼門と鐘楼が一つになった鐘楼門を通り抜けて大佛本尊阿弥陀如来が鎮座している本堂の中に入り、今回はお寺の住職さんからその大佛本尊阿弥陀如来についての話などをご説明していただきました。坐像でありながらその高さが二丈四尺(約7.5m)もあり、京都では最も大きい仏像だそうです。背後にあしらわれた豪華絢爛な装飾も相まって、荘厳な雰囲気がしっかりとこちらにも伝わり、身が引き締まる思いでした。また、人によって表情が違って見えるというその大仏様は、私(山下)には微笑んでいるように見えました。

本堂の中には、その仏像が中央に位置している他に様々なものが置いてありました。特に目を引いたのは仏像のそばにあった非常に大きな木魚で、少なくとも私はこれほどまでに大きな木魚は見たことがないというほどでした。木魚の案内板によると、大きさは縦横四尺(120cm)・高さ1メートル、重さは約200kgとのことで、その様子には一種の威厳すら感じられるようでした。そしてその木魚を叩かせてもらったのですが、叩くためのバイ(撥のこと)もまた大きく、両手でバイを持ち恐る恐る叩いてみると、迫力のある音が静かな建物の中に響き渡りました。なんとも不思議な体験でした。

今回のOB会もたくさんのOBの方にお越しいただき、良い交流の機会となったのではないかと思います。ご参加いただいた皆様にはこの場を借りて改めてお礼申し上げます。次回の秋のOB会も例年通り開催される予定ですので、後日の案内をどうぞ楽しみにお待ちいただければと思います。今後とも御愛顧のほどよろしくお願いいたします。

 

寄稿:
まえがき、妙心寺大雄院…OB委員 樋口
轉法輪寺、あとがき…OB委員 山下

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